そうなると、ハサウェイはクェスへの初恋も「クェスの死」というトラウマも発生しませんので、テロリストになることもなく、ブライトの後継者として地球連邦の優秀な軍人となっていたのではないでしょうか。

 ハサウェイが宇宙に行かなくても、物語の進行自体はあまり変わらないでしょう。クェスが常識的な性格なら、モビルスーツの操縦訓練を受けたりもしないため、スペースコロニー「ロンデニオン」に止まり、以降の物語にほとんど関わらなくなる可能性が高いです。

 大きく変わるのは「ロンデニオン」内の物語です。シャアは地球連邦政府を騙して、宇宙要塞アクシズを入手する交渉のなか、アムロと出会います。

 シャアは「重力に魂をしばられた人々が地球にいては、人類の革新はできない。今すぐ愚民どもに英知を授けて見せろ」とアムロに言います。アムロはシャアに反発し「貴様を殺ってから、そうさせてもらう」と拳銃を取り出します。

 劇中ではシャアに共感したクェスが、アムロの拳銃を叩き落とし、シャアについて行きますが、クェスが常識人ならそんなことはしないでしょう。機械いじりが好きなオタク少年であるはずのアムロが、貴族育ちのシャアと互角にフェンシングできるのがニュータイプ能力の凄さですから、アムロによる拳銃射撃をシャアが回避できるとは思えず、ここでシャアは殺害されるか、負傷してロンド・ベル隊の捕虜になった可能性が高いです。

 この場合は、旗頭を失ったネオ・ジオンは瓦解し、アクシズ落とし自体が発生しない可能性もあります。シャアはそこで生存しても、地球連邦政府に幽閉されたと思われます。

 ただ、アデナウアーは不自然なくらいシャアを信用していましたから「友好的な政治勢力のリーダー」として、ロンド・ベルに圧力をかけてシャアを解放するかもしれません。

 アデナウアーがシャアを解放するか、ギュネイのホビー・ハイザックによるシャア救出が間に合ったとして、その後の展開は変化したでしょうか。

 クェスがいないので、アデナウアーの搭乗艦に気づかない可能性がありますが、戦力比から考えて、やはり撃沈され、アデナウアーは戦死。ロンド・ベル隊がアクシズ攻撃をするという流れは変わらないと思われます。

 シャアはサザビーに搭乗すると思われるので、モビルアーマー・αアジールにはギュネイが搭乗すると考えられます。ただ、クェスがいないので、ギュネイは「クェスとνガンダムを手に入れて、シャアを越える」という反逆心を持ちません。普通にアムロのνガンダムと交戦して、撃破されたと思われます。結果、リ・ガズィは撃破されず、ケーラは生存した可能性が高いです。