ロシアのプーチン政権は、ウクライナのゼレンスキー大統領の訪米を「停戦」に逆行する動きとして苦々しく見詰めた。
2月からの侵攻で、ロシア軍の人的損害や兵器不足が深刻になる中、一方的に「併合」した東・南部の現状を
維持したまま、ウクライナを対話のテーブルに着かせる役割をバイデン米政権に期待していたからだ。

 ゼレンスキー氏は平和の実現に向けて10項目の条件を提示しているが、ウクライナの領土回復など、ロシアには
受け入れられないものばかり。プーチン政権は動員令や戒厳令で事実上の「戦時体制」に移行し、長期化に備えている。
ただ、仮に「停戦合意」を結ぶにしても、交渉でロシアに有利な条件を引き出すのが至上命令となる。

 タス通信によると、ロシアのマトビエンコ上院議長はゼレンスキー氏の訪米に関し「新たな兵器供与や軍事支援の
予算増額を議論するだけでは(停戦)交渉開始の前提条件は生まれない」と不信感を表明。逆に衝突が激化すると
警鐘を鳴らした。ペスコフ大統領報道官も記者団に、訪米は前向きな変化をもたらさないという認識を示した。

 プーチン大統領は21日、「ロシアに対して北大西洋条約機構(NATO)のほぼ全加盟国の潜在的な軍事力が
投入されている」と主張。ロシア軍は迎撃が困難な新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト」を実戦配備すると
明らかにし、ウクライナに地上配備型迎撃ミサイル「パトリオット」を供与する米国をけん制した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022122200675&g=int