文部科学省は20日、公立学校の教員に時間外勤務手当を支給しないと定めた教職員給与特別措置法(給特法)の見直しに向けた課題を整理する有識者会議(座長・貞広斎子千葉大教育学部教授)の初会合を開いた。同法は制定から半世紀が経過しており、教員が担っている業務の実態に対し、給与などの処遇が見合っていないとの指摘が出ている。同省は有識者会議で必要となる論点を整理した上で、来年春以降に中央教育審議会(中教審)などで給特法改正を含めた議論に着手する方針。

給特法は、教員の給与や勤務条件などについて定めた法律。教員の勤務時間の管理が難しいことから、残業代の支給を認めない代わりに、給与月額の4%相当の「教職調整額」を支払うことを規定している。

給特法が制定されたのは昭和46年。教職調整額も、41年当時に月8時間程度だった残業時間を基に決められたもので、多忙化が指摘される現在の勤務状況と乖離(かいり)しているとの指摘が上がっていた。

文科省は来年春、6年ぶりに教員の残業時間などを調べた令和4年度の「教員勤務実態調査」を公表する予定。有識者会議の論点整理も踏まえた上で、教員の処遇改善などについて法改正も含めて検討していく。

有識者会議は、大学教授や自治体の教育長など9人で構成。初会合では、教員の働き方改革の進捗(しんちょく)などが学校間や自治体間で差が大きいことを確認、海外の教員の勤務状況などを踏まえて意見交換が行われた。

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