日本財団は15日、ロシアによる侵攻でウクライナから避難してきた人の約65%が、今後も「日本に滞在したい」と答えたとする
アンケート結果を明らかにした。一方、日本での就労や仲間作りなどに苦慮している実態も浮かんでいる。

 調査は財団が支援しているウクライナからの避難者(18歳以上)を対象に6月から継続的に実施。今回は11月28日から
約2週間で寄せられた750人分の回答をまとめた。女性が84・4%を占め、最も多い世代は20代(35・3%)だった。

 帰国の意思を尋ねたところ、「ウクライナの状況が落ち着くまでは、しばらく日本に滞在したい」が40・8%で最多となり、
「できるだけ長く日本に滞在したい」の24・7%が続いている。支援の有無や家族を呼び寄せられるかなど「日本の環境によって判断したい」も
23・5%に上り、2・3%は「なるべく早く帰国したい」と回答した。

「働いていない」「孤独」6割

 また、60・9%が「働いていない」と答えた。このうち約6割が求職中で、日本語教育や職業訓練を受けているケースも多かった。
最近の生活状況を聞いたところ、約7割が「眠れないことがある」、約6割が「孤独を感じる」と答えている。「高齢者には仕事がほとんどない」(60代男性)、
「無償提供された住宅はかなり古く、常に修理が必要」(40代女性)といった声も寄せられている。

 給付金や生活物資の提供以外で必要な支援を尋ねると「遊び、観光」が55・9%と最も多く、「日本人の仲間づくり」も36・0%で、
「ウクライナ人同士の仲間づくり」の23・5%を上回った。

 日本財団の笹川順平常務理事は「(必要な支援で)『観光』などは7月の調査で、これほどは見られなかった。
少しずつ生活に慣れ、ようやく人間として楽しいという気持ちを取り戻したいという心の余裕も生まれてきているのかと思う」と分析。
一方で「特に地方では交流イベントもなく、孤独を感じる避難民が多い。要望も変化するので、定点観測しながら支援策を打ち出したい」と語った。【国本愛】

https://mainichi.jp/articles/20221215/k00/00m/040/283000c