日本初の月面着陸を目指して16日に打ち上げられ、その後地上と通信できない状態が続いていた超小型探査機「オモテナシ」について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日未明、月上空への到達予定時刻までに通信が回復せず着陸を断念したと発表した。旧ソ連、米国、中国に続く4カ国目の月面着陸を目指していた。

オモテナシは16日夜に米大型ロケットから分離後、太陽電池のある片面が太陽の反対方向を向いて高速で回転していることが判明。回転数を落とすようガスを噴射したが、電圧低下で送信機の電源がオフに。同日夜の米航空宇宙局(NASA)のマドリード局(スペイン)での受信を最後に通信できていない状態が続いていた。

当初計画では、打ち上げ後にオモテナシを月に向かう軌道に入れた後、月上空で減速して着陸する予定だった。プロジェクトチームは充電できる姿勢に変えるようコマンドを送り、計画を大幅に変更して月着陸を目指していたが、月に最も接近する21日深夜から22日未明にかけての着陸予定時刻までに通信が回復しなかった。

JAXAは「目的の一つである月面着陸を果たすことはできませんが、探査機航行中に実施可能なもう一つのミッションである地球磁気圏外での放射線環境測定のほか、月面着陸以外の技術実証を目指し、引き続き復旧作業を実施してまいります」とコメントした。

https://www.sankei.com/article/20221122-RKENTBTWVRMV3A3TK7FE3GYJGQ/