航空自衛隊百里基地(茨城県小美玉市)で十~十八日に行われる日米共同訓練に抗議する集会が九日、基地正門前であった。主催団体は、周辺地域に軍事的緊張をもたらすなどとして訓練の中止を基地に申し入れるとともに、周辺住民の負担軽減も要請。住民からは、騒音を巡る訴訟が起きていないため百里は訓練の拠点にされやすいと懸念の声が上がる。(保坂千裕)

集会は、市民団体や政党など八団体でつくる「百里基地反対連絡協議会」が主催した。基地への申し入れ書では「訓練はアジアに軍事的な緊張をもたらすもので、即刻中止すべきだ」と抗議。国内で相次ぐ米軍機事故や騒音被害にも触れ、「住民負担が増大される」と非難した。

百里での日米共同訓練は二年連続十一回目。防衛省の発表によると、三沢飛行場(青森県三沢市)に配備されている米軍のF16戦闘機が十二機ほど使われ、約百三十人が参加する見込み。空自からはF2戦闘機が八機ほど参加する。
連絡協議会によると、土曜日の十二日にも離着陸を伴う訓練が予定されている。百里では十月二十七~二十八日に、午後十時以降の飛行を伴う昼夜連続飛行訓練が行われたばかりだ。

水戸市から集会に参加した弁護士、戸張順平さん(76)は「このような訓練の積み重ねで実戦が身近なものになってしまう。ウクライナでの殺りくを見ても、軍備増強ではなく平和を希求しなければならない」と力を込めた。
基地近くに住む梅沢優さん(72)は、近年、百里での訓練の頻度が上がっていると指摘。周辺の人口密度は他の基地に比べて低く、騒音訴訟を起こす原告が集まらないため、訓練の拠点として都合が良いのではないかと推し量る。

今回の訓練に先立ち、県や地元五市町は騒音対策や安全に万全を期すよう北関東防衛局に要請。小美玉市によると「安全対策の徹底について米軍に申し伝える」などの回答があった。
 行政の対応について、協議会を構成する茨城平和擁護県民会議事務局長の相楽衛さん(62)は「危険が伴うのが訓練で、これでは何も言わないのと同じことだ」と批判した。

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