欧州連合(EU)の「デジタル市場法(DMA)」が、11月1日(現地時間)に発効した。これにより、アップルに対して、iPhoneやiPad向けサードパーティ製アプリストアやサイドローディングを許可するよう強制する可能性が浮上している。

【動画】EU「デジタル市場法(DMA)」の仕組みと目的

大まかに言えばDMAとは、GoogleやAmazon、アップルなど巨大IT企業への締め付けを強化する法律だ。これまでは独占禁止法への違反があった後に対応していたが、この法律では
禁止事項が明確に定められており、積極的に規制の網が広げられる見通しだ。

DMAは具体的には、ユーザー数や売上高、資本金など一定の基準を満たしたハイテク企業を「ゲートキーパー」と指定。これらゲートキーパーに対して、自社サービスやプラットフォームを、
他社や開発者に開放するよう義務づけることになる。

まだゲートキーパー候補のリストは発表されていないが、アップルはEUにおける年間売上高の大きさやプラットフォームの規模、一部デジタル分野において「持続的な地位」を占めていると
思われることから、候補入りはほぼ確実と見られている。

DMA適用により、アップルは欧州において、App StoreやiMessage、FaceTime、Siriに大きな変更を強いられる可能性がある。たとえばユーザーがサードパーティの(App Store以外の)
アプリストアやサイドローディング(正規のアプリストア以外からのダウンロードやインストール)を可能にすること、開発者がサードパーティの決済システムを利用できること、アップルが
収集したデータにアクセスを許可することなどである。

これまで同社のティム・クックCEOは、App Store外からのアプリ追加を認めないことがユーザーの利益になると何度も強調してきた。そればかりか公式文書を公開して
サイドローディングが「攻撃への新たな投資の洪水に拍車をかける」とまで主張していたが、それらはDMAの施行を視野に入れていたと思われる。

また、EUがDMAについて暫定合意に達した今年3月には、「いくつかの条項が、我々のユーザーにとって不必要なプライバシーとセキュリティの脆弱性を生み出すことを
懸念している」との声明も出していた経緯がある。

https://news.yahoo.co.jp/articles/6872b67d7748be007ab495538be64a5bfc55c338