<独自>防衛強化に5年48兆円 防衛省積算 現行計画の1・7倍

防衛省が令和5年度から5年間を対象とした中期防衛力整備計画(中期防)に盛り込む経費に関し、総額48兆円前後と見積もっていることが2日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。元年度からの現行中期防の約27兆4700億円から約1・7倍の規模となる。政府はこれに海上保安庁予算や研究開発費なども加え、国内総生産(GDP)比2%を念頭に防衛力強化を目指す。

岸田文雄首相は、軍事的に台頭する中国や核・ミサイル開発を進める北朝鮮など厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、今年5月の日米首脳会談で「防衛費の相当な増額」を実現する方針を表明。6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」に北大西洋条約機構(NATO)が加盟国に求めるGDP比2%を盛り込み、「5年以内の抜本的強化」を明記した。

年末に予定されている国家安全保障戦略など「安保3文書」の改定を見据え、防衛省は7月ごろから必要経費の精査に着手。敵ミサイル拠点などを攻撃する「反撃能力(敵基地攻撃能力)」としての活用を念頭に、長射程ミサイルの実戦配備を目指すほか、無人機導入や宇宙・サイバー・電磁波を利用する「領域横断作戦」を進める。

また、弾薬や装備品の部品確保や老朽化した施設整備の修繕、輸送力・補給力の向上も急ぐ。こうした積み上げ作業の結果、今後5年間で約48兆円の経費が必要だと結論づけた。

ただ、防衛費の大幅増を実現するには安定的な財源が必要となるため、政府内で調達や運用が困難な事業がないかなど精査する。財務省は30兆円台前半も視野に圧縮を求めており、防衛省の積算から大幅に減額される可能性もある。

これとは別に、政府はNATOの基準を参考に、安保関連経費に海保予算や研究開発費を算入し、GDP比2%の達成を目指すが、防衛力強化に必要な経費が確保できるかが焦点だ。

https://www.sankei.com/article/20221102-QL7FXWPFBNP6ZIHWSPSENX3E6E/