MDTF-Iは奄美大島の陸上自衛隊奄美駐屯地に、今回の訓練で使用した中国艦艇攻撃用の長射程ロケット砲である高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」(対地攻撃や対艦攻撃用のロケット弾やミサイルを6発装填して連射できる自走式発射装置。対中戦では最大射程距離500kmの対艦ミサイルが装填される)を残留させた。

 HIMARSなどの米陸軍装備がいつまで自衛隊基地に残留されるのかは明らかにされていないが、今後数カ月のうちにも複数回の日米合同訓練が予定されており、米陸軍としてはその都度に大型装備を搬入したり搬出したりするよりは、奄美駐屯地に残留させておいたほうが経済的にも労力的にも効率が良い、としている。
 オリエント・シールド2022直後に奄美大島を訪問した米陸軍太平洋陸軍司令官チャールズ・フリン大将は、米陸軍のHIMARSを奄美駐屯地に残留させていることについて「米陸軍が前方展開能力を維持するために非常に良い機会となる」と高く評価している。

 そのため、MDTF構想に実効性を付与するためにも、さらに多くのHIMARSに加えて、より大型の兵器である地対艦ミサイルシステムや地対空ミサイルシステムなどを奄美大島だけでなく第1列島線上(九州から与那国島にかけての日本の領土内)に配備しておくことが理想の姿ということになる。

https://news.yahoo.co.jp/articles/8aae7155bd230a3d9154a636b08f62504d0ae49f?page=2