氷河期のシベリアオオカミのDNAは、初期および現代のイヌのDNAと類似していることが、オオカミのゲノム解析で明らかになった。
【全画像をみる】最初のイヌは中央アジアで生まれた…古代のオオカミのDNA解析で明らかに
この発見は、最後の氷河期に中央アジアでイヌが家畜化されたことを示すさらなる証拠だ。
この研究では、一部のイヌと古代の中東のオオカミとの間の遺伝的つながりも発見された。
イヌは進化史上最大の謎のひとつだ。彼らがどこから現れたのか、よく分かっていなかったのだ。だが古代のオオカミのDNAを解析した新たな研究によって、アジアのどこかであったことが判明した。
フランシス・クリック研究所の研究者を中心とする遺伝学者のチームは、ヨーロッパ、シベリア、北米で発掘された72頭の古代オオカミのゲノム解析を行った。そのDNAは10万年間、3万世代にわたるものだった。
そして、これらのオオカミのDNAと現代および古代のイヌのゲノムを比較したところ、イヌは、最後の氷河期(約1万3000年前から2万3000年前)にシベリアにいたハイイロオオカミと最もよく似ていることが判明した。
コーネル大学でイヌ科動物の遺伝について研究しているアダム・ボイコ(Adam Boyko)は「中央アジアのオオカミの集団がイヌの起源につながったという研究結果と一致する」とInsiderに語っている。ボイコは今回の研究には関わっていないが、世界中の「ビレッジドッグ(品種改良されていない半野生のイヌ)」のゲノムを解析した自身の研究で、イヌの家畜化の起源が中央アジアだと考えられるとすでに指摘していた。
彼は「今回、イヌとオオカミについてこの鏡像のようにそっくりな分析結果を得た。いずれも中央アジアが起源であると示唆している」と述べているが、「まだ最終的な結論には至っていないと思う」としている。
今回の研究によると、中東、アフリカ、南ヨーロッパにいた古代のイヌは、中央アジアに加え、中東のオオカミを祖先に持つことが分かった。このことは中東で2回目の家畜化が行われたか、あるいは中東のイヌが野生のオオカミと交雑したことを示している可能性がある。
研究チームは、この研究結果をまとめた論文を2022年6月29日付けで科学誌Natureに発表した。
新たな遺伝子による歴史が実際の進化の過程を示す
新たに得られた古代オオカミのDNAのゲノムライブラリーによって、研究者らはオオカミが時代とともに変化していく様子を知ることができた。
「10万年という時間スケールで大型動物の自然淘汰を直接追跡した初めての例となった。これまでのようにDNAからの再構築ではなく、実際に進化していく過程を見ることができたのだ」と論文の共同著者であり、フランシス・クリック研究所古代ゲノム研究室を率いるポンタス・スコグランド(Pontus Skoglund)はプレスリリースで述べている。
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