テレ朝「高齢層向けドラマ枠」の限界
 20時台のドラマ枠が消滅してしまう最大の理由は、広告収入を得やすいコア層(主に10~40代)の個人視聴率が獲れないから。かつては主要4局すべてが20時台にドラマ枠を編成していましたが、
家族形態やライフスタイルの変化、エンタメコンテンツの多様化などで、同時間帯の視聴者層が大きく変わりました。

 20時台はファミリー層と高齢層の視聴者が多くを占めるようになり、『木曜ミステリー』は、そのうち高齢層の視聴者を手堅く押さえることで安定した視聴率を獲得。しかし、
この視聴率が必ずしも広告収入を担保するものではないようです。

 テレビ朝日は『木曜ミステリー』を終了する理由について、「木曜日のゴールデン帯全体の編成を総合的に判断した結果」とコメントしていましたが、実際のところ木曜日だけの話ではありません。
テレビ朝日は水曜21時台と木曜21時台のドラマ枠も高齢層がメインの視聴者層であり、「営業的にCM枠を埋めていくのが難しく、単価も下がってしまう」などの声を何度も聞いていました。

 一方、他局はいち早く20時台のドラマ枠をファミリー層向けのバラエティに変え、ドラマ枠は22時台を中心に編成。さらにドラマ枠は、視聴率だけでなく、配信再生数やSNSの動きなども
評価指標に加えられ、広告配信や海外配信での収入増を目指しはじめています。その点、『木曜ミステリー』は根強いファンこそ多いものの、その内容や視聴者層から配信視聴が
見込みづらく、今後の行方を不安視されていました。

「それならファミリー層向けのドラマを作って20時台に放送すればいいのでは?」と思うかもしれせんが、「そのような作品ジャンルを見い出せていない」のが現実。かつては20時台に
人気アイドルの主演ドラマや、10代の若手俳優を起用した学園ドラマなどが放送されていましたが、低視聴率から軒並み撤退。「グルメ、笑い、クイズなどのほうがファミリー層の
数字が獲れる」という判断からバラエティが選ばれています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c82d68550aa26195bcc8b027ab674dbbf8730ee0?page=2