【シンガポール=森浩】米紙ワシントン・ポスト(電子版)は8日までにカンボジア南西部のリアム海軍基地内に中国が
極秘裏に海軍施設を建設していると報じた。中国やカンボジアは報道内容を否定したが、リアム海軍基地は南シナ海に近く、
中国軍が利用するとの観測が絶えない。アフリカ東部ジブチに次ぐ中国軍2カ所目の海外拠点となる可能性があり、
各国は動向を注視している。
同紙が6日、西側政府関係者の話として伝えた。施設の詳細は不明。中国当局者は同紙に対して、中国軍が基地の一部を
使用することを認めたが、科学者も使うため軍事目的に特化していないと説明している。報道を受け、中国と関係が
悪化するオーストラリアのアルバニージー首相が海軍施設建設への憂慮を表明するなど警戒感が広がる。
カンボジア政府報道官は、中国と同基地で船舶修理工場の整備事業などに着手することは認めたが、
中国軍が独占的に使用することは否定した。中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は7日の記者会見で、
「リアム海軍基地の再建はカンボジア海軍の能力強化を目的としている。米国はカンボジアの立場に耳を貸さず、
悪意のある臆測を繰り返している」と批判した。
リアム海軍基地をめぐっては、米紙ウォールストリート・ジャーナルが2019年、カンボジアが支援の見返りに中国との間で
基地の軍事利用を認める協定を結んだと報じた。カンボジア政府は20年には同基地内にあった米国の支援で建設された
施設を取り壊しており、米国が不快感を示していた。
https://www.sankei.com/article/20220608-ZHY5I2SL2RPC7HKPHCH3D6LL24/