新型コロナウイルス禍で娯楽関連業界の多くがダメージを受ける中、競輪や競馬といった「公営ギャンブル」が活況だ。競輪場や競馬場に赴かなくても
車券や馬券が買える「インターネット投票」の普及が理由。京都府が管理する京都向日町競輪場(向日市)では売り上げが急増し、
かつて「廃止もやむなし」としていた府も存続を含めて再検討することに。コロナ禍の3密回避などでパチンコが下火となる一方、
感染症対策の担保を前提にギャンブラーたちの熱は冷めることはないようだ。

■赤字から復活

京都向日町競輪場は昭和25年に府が開設。平成2年度をピークに売り上げ、入場者数とも減少に転じ、10年度の収支は赤字となった。
23年には有識者で構成する府の検討委員会が廃止もやむを得ないと提言。山田啓二知事(当時)は「赤字を税金で穴埋めする状況も予想され、
事業存続は非常に難しい」としていた。

ところが、23年度に約7千万円の黒字を計上して以降、業績が改善。単年度収支の黒字額は29年度には2億4千万円にのぼった。
コロナ禍が深刻となってからも、単年度収支の黒字額は令和2年度の3億1千万円から、3年度見込みは9億5千万円へと急成長。
府の予算への繰り出しが十分可能な「優良児」に。今春、府の包括外部監査人が存続を含めた再検討を求める監査結果を公表した。

京都向日町競輪場を強力に推進したのはネットで車券を購入し、テレビかネット中継で観戦するネット投票の普及だ。同競輪場は電話投票に次いで
民間サイトでのネット投票を平成23年度に導入。令和2年度の車券売上高124億円のうち、競輪場での売り上げは2・1%に当たる2億6千万円に過ぎない。
平成22年度で10万人台だった入場者数も、令和3年度推計は2万4千~2万5千人にとどまり、もはや競輪場に足を運ぶ時代ではなくなったことを示している。

■パチンコからくら替え

こうした中で指摘されるのが、パチンコの衰退とパチンコファンの公営ギャンブルへのくら替えだ。府の監査人は、店内にいなければできない
パチンコはコロナ禍では敬遠されるとし、「ギャンブルに魅力を感じる客層の一定数が、競輪へ移行した可能性は否定できない」と指摘する。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/4e2cf8f552ea60380a45d5ffa6d69c4392c889b7