<社説>施政権返還50年(9)自衛隊配備強化 専守防衛を貫くべきだ

米国から日本へ沖縄の施政権が返還(日本復帰)されてから15日で50年となるが、今年は自衛隊が1972年4月に沖縄配備されてから50年の節目でもある。
この間、急患搬送や災害派遣、不発弾処理など自衛隊が沖縄で果たしてきた役割は大きい。復帰当時、自衛隊を日本軍と重ねて反発した県民感情は、戦争体験者の減少とともに変化している。その一方で紛争や戦争を想定した南西諸島への配備強化が進む。
それは在沖米軍と一体化する形で、自衛隊を戦争の前面に押し出す動きだ。政権党の自民が提起する「反撃能力」は敵基地を攻撃する内容で専守防衛を逸脱する。敵基地攻撃能力の保有は「国民の命と安全を守る」どころか、沖縄が相手から標的にされる危険性を高める。再び沖縄が戦場になることを拒否する。平和憲法の理念に基づく専守防衛を貫き、自衛隊の配備強化は見直すべきだ。

沖縄に配備された自衛隊のミサイルは敵基地攻撃に転用される可能性がある。部隊配備や機能強化が進むと相手から標的にされる。77年前の沖縄戦で日米両軍の激烈な地上戦に住民が巻き込まれ県民の4人に1人が犠牲になった。
「軍隊は住民を守らない」。その教訓に今こそ学ぶべきだ。
相手に挑発と受け止められる軍備増強ではなく、衝突の火種を除く外交努力が肝要だ。

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