■団塊世代には商機があると思われていたが…

 現在の日本を表すキーワードとしてよく登場するのが「高齢化社会」です。

 少子化が進んで日本国民の平均年齢がなんと50歳を超え、日本でもっとも人口ボリュームがある団塊世代(おおむね1947~49年生まれ)が
2025年に全員後期高齢者(75歳以上)となりますが、当然ながら、それはずっと前からわかっていることでした。

 ですから2000年代半ば頃くらいからは、こんな“未来予測”が世の中を席巻していたと思います。「高齢者の市場(シルバー市場)を狙った企業は勝つ」

 ここで言う高齢者とは、当時まだ60代だった団塊世代です。彼らはそれ以前の世代、つまり戦前生まれに比べて、歳を取っても仕事や趣味に意欲旺盛で、
貯蓄額や年金額の面でも使えるカネが多い、だから商機がある――と、各企業のマーケティング担当者に思われていました。

 彼らはマーケティング業界で「アクティブシニア」と呼ばれました。たくさんのマーケターがアクティブシニアの需要について期待を煽(あお)り、
専門家がこぞって本を書き、講演し、企業を焚(た)き付けたのです。

 しかし結論から言うと、それは幻想でした。

 2010年代に入って彼らが続々と定年退職し始めても、たいしてお金を使わなかったのです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/28725500f9473fef1592d6dfda9a45252012c679