運航初日の判断疑問視

【斜里】知床で行方不明となった観光船「KAZU1(カズワン)」(19トン)は23日、道内外の乗客と乗員の26人を乗せ、知床半島を巡るクルーズを終えて帰港するはずだった。当時の現場海域は約3メートルの高波と強風で、地元漁業者が操業を見合わせたほど。大型連休を前に今季の運航を始めた初日の判断に無理があったのではとの指摘もある。世界自然遺産に触れることができる人気の観光船に何があったのか―。運航会社は対応に追われ、1管本部や航空自衛隊は夜を徹して捜索に当たっている。

「しけで船を現場に出せない」。KAZU1が発着するオホーツク管内斜里町のウトロ漁港。漁協関係者は、こう漏らした。組合員の多くが救助に向かうため、港で待機していたが、波の高さに出港を見合わせざるを得なかった。

 開発局の海象情報によると、斜里町ウトロの23日午後1時時点の波の高さは1・9メートル。通報があった同1時15分ごろの約15分後には約3メートルにはね上がっていた。札幌管区気象台は「しけとは言い切れないが、急に波が高くなったようだ」とみる。

地元漁業者の多くは出漁せず、漁業者の1人は「しけるのが分かっていたから、みんな早めに漁をやめて帰ってきた。それなのに観光船は出て行き、ちょっと無謀ではと思った」と話した。

 当時は沖合から知床半島に向かって風が吹いており、危険性を指摘する声もあった。観光船は滝などを見せようと、沿岸近くを航行することがあり、知床で観光船を運航する会社関係者は「岸に近いほど波が高くなって危険。まさかこの天気で船を出すなんて」と明かした。


北海道・知床観光船不明 強風・高波でなぜ 漁協も救助船出せず
4/24(日) 6:44
https://news.yahoo.co.jp/articles/8d79703f65fbc539ef39f61ca3c4239574aa6d18