【北京・坂本信博】中国でウナギの国内需要が急速に高まっている。習近平指導部の内需拡大策などを受け、世界最大の消費国である日本への輸出量が大幅に減少。中国国内の
外食産業で利用が広がり、庶民も高級イメージの強かったウナギを口にする機会が増えた。中国での人気と消費量の「うなぎ上り」は、今後の対日輸出に影響を及ぼす可能性がある。

 中国メディアの経済日報によると、ウナギの養殖場やかば焼き加工場が集中する福建省のある業者は、この2年間で対日年間輸出量が3千トンから700トンまで減少。
主要販売先を日本から中国国内に切り替えた。

 新型コロナウイルス禍による物流停滞に加え、習指導部が内需拡大で輸出依存から脱却する政策を進めていることもあり、多くの業者が国内市場での電子商取引(EC)を
使った小売りやスーパーへの卸売りに注力。世界最大とされるウナギの国内総生産量の多くは従来、日本向けだったが、今は6〜7割が中国で消費されるという。

 日本料理店の高級食材とされてきたウナギを、中国人向けの料理に活用する飲食店も増えている。中国の出前サービス大手「美団」によると、ウナギギョーザやウナギ火鍋など
ウナギを使う料理は2021年現在で6万種類を超え、19年から66%増。ウナギを取り扱う飲食店は2年連続で14%以上増えた。21年のウナギ料理の出前注文は前年比の約4割増となり、
50元(約千円)以下のメニューが3割増えた。

 北京のスーパーで買い物をしていた50代の女性は「ウナギはまだ高級食材だけどおいしいし栄養価が高い。手を出せない金額ではなくなった」と話した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/740fa9a8c4d05855c8ea88484f235c4d8df7ddd5