本当に「核の傘」は機能するのか…注目される「核共有」 唯一の「被爆国」だから悩みもがくことも必要
3/24(木) 17:00
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夕刊フジ
【桂春蝶の蝶々発止。】

16日夜、福島県沖を震源とするマグニチュード7・4の地震があり、宮城県と福島県で最大震度6強を観測しました。自然災害は時と場所を選ばずやってきます。

それは、北朝鮮が発射する弾道ミサイルや、ロシアによるウクライナ侵攻、中国の脅威などと重なるように感じます。

政治評論家の三宅久之さんは生前、「『9条があるから他国が攻めてこない』というなら、『台風は日本に上陸するな』と憲法に書いてもらいたい」と言っていました。憲法があるないに関係なく、世界には他国を侵略する国が存在します。

私は核武装には反対です。原子力発電所もわずかに反対という考え方です。「唯一の被爆国」なんだから、繊細になって当たり前だと思うし、そうなるべきでしょう。

しかし、ロシアが核兵器で恫喝(どうかつ)する「世界の脅威」をリアルに感じると、「核抑止力」についても議論せざるを得ないと思います。

ウクライナが攻め込まれたのは、ソ連から独立したときに保有していた核兵器を放棄しちゃったから。米国と英国、ロシアは1994年、核兵器の放棄を条件に、ロシアがウクライナに手を出さないという「ブダペスト覚書」に署名したが、ロシアは反故にした。

NATO(北大西洋条約機構)諸国は、「ニュークリア・シェアリング(核共有)」を採用しています。これは、非核保有国であるドイツとイタリア、オランダ、ベルギー、トルコに米国の核兵器を配備することで、「核抑止力を共有する政策」だそうです。ロシアはこれもあって、NATO諸国に踏み込めない。

日本は現在、日米同盟を結んでおり、米国の「核の傘」の中にいます。一方で、核兵器を「持たず」「作らず」「持ち込ませず」という非核三原則があります。

悲惨なウクライナ侵攻を目の当たりにして、「本当に核の傘は機能するのか」という疑問が指摘され、「核共有」が注目されているのです。

「核共有」を分かりやすく例えてみましょう。

私たち上方落語協会は天満天神繁昌亭という小屋を持っています。東京の落語界には、新宿末広亭や浅草演芸ホールがあります。それぞれの団体が、重い責任を持って守っている。名古屋には大須演芸場があり、大阪と東京、名古屋の芸人さんが少しずつ出演し、興行をもり立てている。全国の芸人が責任を「共有」しているわけです…。

えっ? その例え話、余計に分からなくなる? すいません(苦笑)。

ともかく、日本の非核三原則には「言ってはいけない」「考えてもいけない」という思考停止習慣まで存在するから、平和ボケから抜け出せない。唯一の被爆国だからこそ、「核兵器とは何か」「核兵器をどう撃ち込ませないか」という、違う意味で悩み、もがくことも必要だと、私は思います。
https://news.yahoo.co.jp/articles/555a90839825e981691d2b54583251de36d333dc