鹿児島大学生死亡の飲酒運転「ひき逃げ」 裁判前に遺族は

https://news.yahoo.co.jp/articles/bec9595e5e7068d7dba1de17390145ce4f874d38

去年2月に鹿児島大学生が飲酒運転の車にはねられ死亡した事件。運転していた男は危険運転致死などの罪で有罪判決を受けましたが、遺族の申し立てもあり「ひき逃げの罪」でも起訴され、23日から再び裁判が始まります。遺族は、今度こそ”真実”が明らかになってほしいと願っています。

(大喜さんの父)「机は次男が使っているのでここにはない。これは長男が着ていたスーツ」

去年1月、成人式で初めてスーツに袖を通した宮崎大喜さん(当時20歳)です。

(大喜さんの父)「大学入学式はコロナ禍で延期になってスーツを着られなかったので、成人式が最初で最後。1回だけ袖を通してそのままの状態」

部屋には、獣医師を目指し勉強していたころの教材などもそのまま残されています。

成人式の1か月後、大喜さんは鹿児島市大竜町の国道10号で飲酒運転の車にはねられ命を失いました。
八木優斗被告(27)は、およそ8時間にわたって酒を飲んだ後に車を運転。信号を無視して交差点に時速93キロで進入し、横断歩道を渡っていた大喜さんをはねました。

大喜さんは150メートル先で倒れ、車はさらに150メートル先の交差点で信号待ちをしていた車に追突して停止。
八木被告はみずから警察に通報しましたが、警察が到着するまでのおよそ20分間、親に電話したり、ドライブレコーダーを外して助手席のドアポケットに入れたりしていたものの、車を降りて大喜さんを救護することはありませんでした。

(大喜さんの父)「どういう思いで救護しようと思わなかったのか、八木被告の気持ちが見えてこなかった」

道路交通法では「事故を起こしたらすぐ停止して、負傷者を救護しなければならない」と定められていて、救護義務違反は「ひき逃げ」にあたり、10年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。

警察は、八木被告を危険運転致死と酒気帯び、ひき逃げの疑いで送検しましたが、鹿児島地検は当初、「ひき逃げ」については起訴しませんでした。
そして、去年10月に危険運転致死と酒気帯びの罪について裁判が行われ、遺族側は法律上の上限である懲役23年が相当と主張しましたが、八木被告に下されたのは懲役9年の実刑判決でした。

(大喜さんの父)「完全に救護を放棄している。これはおかしい、逃げ得を許してはだめ」