金や銀など8種類ある貴金属の全ての元素からなる合金を作ることに成功したと、京都大のグループが発表した。グループは「8種類全ての貴金属元素から合金を作ったのは、5千年に及ぶ合金作製の歴史で初めて」としている。水素を発生させる触媒としての活性が高いため、工業技術への応用が期待でき、化学メーカーや自動車メーカーとの共同研究も進行しているという。米科学誌にこのほど掲載された。

 5種類以上の元素が均等に混在する合金は、ハイエントロピー合金(HEA)と呼ばれユニークな性質を持つとされるが実用例はまだ少ない。理学研究科の北川宏教授や白眉センターの草田康平准教授などのグループは既に、6種類の白金属からHEAを作製。今回は白金属に金と銀を加えた貴金属8種類でHEAを作製することを試みた。

 グループは加熱の手順など合成方法を工夫して、8種類の元素からナノサイズの粒子状の合金作製に成功した。出来上がった合金の各元素の電子状態を調べると、同じ元素でも合金内の位置によって多様な状態となっていた。水素を発生させる電極触媒として、非常に高い活性を示した。

 貴金属にどの種類の元素を含めるかには他の定義もあるが、今回は国内で最も一般的な8種類にしたという。草田准教授は「HEAの分野はまだ分からないことだらけ。合金をつくる元素の割合で性質にどんな変化があるのか、今後もさらに研究したい」と話す。

金も銀もプラチナも 全ての貴金属入った夢の合金 京都大が作製に成功

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