米紙「ワシントン・ポスト」は、「突如として歓迎、ヨーロッパは避難してくるウクライナ人に門戸を開いた」と題した記事で、このEUの態度の急変を指摘している。

シリア難民を中心に約200万人が助けを求めてヨーロッパを目指した2015〜2016年当時、それは「欧州の難民危機」と表現され、流入しようとする難民を国境で長く足止めしたり追い返そうとしたり、反移民運動が激化する国もあった。

ちなみに、ウクライナから欧州に逃れてきた人々は、この1週間足らずで、すでに50万人以上。このままいけば、「難民危機」と言われた時期の流入数をはるかに超え、第二次世界大戦以降で最大の数百万人の難民がヨーロッパ大陸に押し寄せると予想される。

それでもウクライナの人々を受け入れるというEU諸国の「団結した姿勢」は、中東やアフリカ難民への過去の対応と「まったくもって対照的である」と、ワシントン・ポストは書く。

この態度の変わりようを臆面もなく語るEU首脳たちもいる。ブルガリアのキリル・ペトコフ首相は今週、ウクライナ人についてこう語った。

「これらの人々は、私たちが見てきた難民とは違います。彼らはヨーロッパ人なのです。知的で教養のある人々です。
これは私たちが直面してきた難民の波とは違う。素性も過去もわからない、テロリストかもしれない人たちとは違うのです」

移民政策の手のひら返しがとりわけ目立つのは、東欧と中欧の国だ。
ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相は、アフリカやアフガニスタンからの亡命希望者を止めるために、国境に有刺鉄線を張り、移民探知犬まで動員していた。そんなオルバンは2月27日、
「ウクライナから逃げてきた人々は皆、わが国で友人を見つけるだろう」と記者団に語った。

同じように、昨年アフガニスタンをはじめ中東からの亡命希望者を押し返すべく、軍隊を派兵したポーランド政府はいま、ウクライナ人のために無料で国鉄を走らせている。

https://courrier.jp/news/archives/280642/