【日経QUICKニュース(NQN) 中山桂一】岸田政権を支持しますか?――。この質問に個人投資家の多くは「NO」の声を上げた。マーケット・経済専門チャンネルの日経CNBCが8日まとめた1月末の投資家サーベイによると、「不支持」の回答が95.7%に上った。「支持」はわずか3.0%。回答者からは、岸田文雄首相が掲げた金融所得課税の強化などに批判的な意見が集中した。

■「日本株の売りにつながっている」
調査期間は1月27日から31日。個人投資家の関心が極めて高く、短文投稿サイトツイッター上では「みんなで投票しよう」という書き込みが拡散。日経CNBCによると、普段の20倍の意見が集まり、集計システムの上限を超えたという。当初は2月2日に予定していた結果発表も8日にずれ込んだ。

「金融所得課税や自社株買い制限などの発言が株安政策となり、日本株の売りにつながっている」「マーケットや株主に対する配慮がなさすぎる」。こんな意見が寄せられたほか、岸田首相の「新しい資本主義」について「日本の産業を育てていく、国民の所得をどうやって増やしていくか具体的な内容がみえない」という声もあった。

■安倍政権とは違う
市場関係者は以前から岸田政権に厳しい目を向けていた。「海外投資家の間で岸田政権に対する評価は低い」(外資系証券)との声もしばしば聞かれる。「安倍政権や菅政権はマーケットに配慮した行動が目立ったが、岸田政権は違う。投資家も戸惑っているのではないか」(国内証券ストラテジスト)との指摘もあった。

日本経済新聞社とテレビ東京が1月末に実施した世論調査では、岸田内閣の支持率は59%だった。

日経CNBCの投資家調査は同社のホームページにアクセスできれば誰でも参加できる仕組みで、世論調査とは手法が異なる。回答者の年代も30代や40代などが多く、回答者層の偏りも大きい。

ある国内証券のトレーダーは「一般的な世論調査で岸田政権の支持率が高いのは、まだ国内で投資家層が広がっていない証左ではないか」と話す。投資家の多くが不支持という辛辣な結果は、岸田首相の耳に届くだろうか。
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