塩野義 唯一の“国産飲み薬”効果あり 生産開始も「治験に遅れ」
塩野義製薬が治験を進めている新型コロナウイルスの飲み薬について、その有効性に注目が集まっている。
この飲み薬は感染初期に1日1回、5日間服用することが想定されている。
塩野義製薬は最終段階の治験で飲み薬を3回投与されたグループは、有効成分が入っていない偽薬を投与されたグループに比べて、
感染性のあるウイルスが63%から80%減っていたと発表した。

この新型コロナ用の飲み薬というのは世界でまだ3つしか開発が進んでいない。
1つ目は「モルヌピラビル」で、これはアメリカの製薬大手「メルク」が開発して、すでに日本でも使われている。
そして2つ目が「パクスロビド」で、これはアメリカのファイザーが開発して、1月に日本で承認申請した。政府は2月中にも使えるよう目指している。

そして3つ目が、日本の塩野義製薬の飲み薬で、国産で唯一の飲み薬だ。
今開発の最終段階だが、すでに生産も始まっている。
生産工場の映像を見ると、白くて丸い錠剤を、先を見据えて2021年12月からたくさん作っている。
最終的な治験が終わって承認されれば、いつでも手元に届く状況だという。

海外のものだと供給量が限られてしまうが、国産ならば供給が安定する。
生産されてるのになぜ使えるようにならないのかというと、その安全性や有効性を確かめるための治験が遅れてしまっているからだという。
大きな理由として、承認には約2,000人の治験が必要となるが、その治験をする患者がなかなか集まらないことが挙げられている。
治験には全国の患者を直接訪問して、「新しい薬を試してもいいかどうか」その意思確認が必要になってくる。

その際に3つの手順があるという。
まず、そもそも治験の話をしてもいいかどうか。新型コロナに感染し動揺している患者に対して治験の話をいきなりしていいのか、その「確認」が必要となる。
「いいですよ」となった時に、次のステップに。その治験の「詳細」を説明する。
それに「同意」を得られれば、そこでようやくこの治験に参加という段階がある。

さらに2021年10月以降は国内の新規感染者が急激に減少した結果、治験をできる人が少なくなったことも遅れた要因に挙げられる。
感染者数が減るのは良いことだが、治験という視点から見ると、なかなか進まないひとつの要因になってしまったという。

その後はオミクロン株で感染が拡大して、治験者は増えてきているという。

そんな状況の中、東京都の小池都知事も立ち上がった。
1月末に小池知事は会見で「塩野義は先を見据えて生産を開始している。新薬を使うためには治験が必要。
都民の協力をお願いしたい」と治験に東京都が全面協力することを発表した。

この塩野義製薬の国産飲み薬は、オミクロン株にも効果があるということが確認されている。
早期の承認を目指し、2021年度中に100万人分を生産する予定だ。
https://www.fnn.jp/articles/-/308433