米、医療従事者の隔離短縮が相次ぐ 陽性でも勤務可能に

【ニューヨーク=山内菜穂子】新型コロナウイルスの感染拡大が続く米国で、感染した医療従事者の隔離期間を短縮する動きが出ている。一部の州では陽性でも無症状なら医療用マスクを着用し働けるようにした。入院増や感染する医療従事者の増加で逼迫する医療を維持するためだが、現場から批判の声も上がっている。

陽性でも無症状であれば、隔離も検査もせずにすぐに仕事に戻ることができる――。西部カリフォルニア州はこのほど医療従事者の隔離に関する指針を改めた。2月1日までの限定措置で「オミクロン型の増加により深刻な人手不足が生じている」と説明した。

濃厚接触者になった場合も無症状であれば隔離も検査も必要ない。現場に復帰する場合は医療用マスクの着用を義務づけたほか、できるだけコロナ患者の対応にあたるように求めている。

州内の一部の病院は州の方針を受けて、陽性で自宅隔離していた看護師らを呼び戻し始めた。地元メディアによると、ある病院では隔離していた30人のスタッフが勤務に戻った。一方で隔離ルールを変更しない病院もある。

東部ロードアイランド州も医療従事者の隔離期間を短縮した。両州が短縮に踏み切ったのは、米疾病対策センター(CDC)が昨年12月下旬、医療従事者向けの指針を変更したためだ。

人手不足の状況を3段階に分け、最も深刻な「危機」では、陽性でも無症状または軽症ならば適切なマスク着用の上で働けるとした。ワクチン接種の有無は問わない。CDCはこの後、一般の人が感染した場合などの指針も見直し、隔離期間を最短5日間とした。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN14DN80U2A110C2000000/