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「2回目のワクチン接種が順調に進んでいたのに、3回目の接種は第6波に間に合いませんでした。
海外の事例を見れば十分に予見できたはずですが、政府はなぜ後手に回ったのでしょうか。
このまま医療関係者が感染していけば医療崩壊になってしまいます」

 世界保健機関(WHO)が「デルタ株よりも著しく速いスピードで広がっているという一貫した証拠がある」
(テドロス・アダノム事務局長)と警戒するオミクロン株は、感染した場合の症状がより軽いとされる一方で、
その感染速度の速さから各国は追加接種を急ぐ必要性に迫られてきた。

 しかし、岸田政権は昨年秋、3回目の追加接種は「2回目の接種から原則8カ月以上後」と確認。
厚生労働省のウェブサイト「新型コロナワクチンQ&A」には「原則8カ月以上間隔をあけて接種を受けることができます」と記載し、
医療従事者や重症化リスクの高い高齢者施設入所者などは接種間隔を6カ月に短縮できると説明している。

 政府は「8カ月」とした根拠について米国や英国などを参考にしたというが、
米国では1月3日に過去最多となる108万人の感染者が確認されるなど欧米での感染拡大は収まっていない。
前出の保健所関係者は「『8カ月』という方針は感染速度が速いオミクロン株を考慮したものではなく、
科学的な根拠は乏しいはずです。岸田首相は『前倒し』を強調していますが、要はこれまでワクチン確保が後手後手に回っているということです」。

 ワクチンは2回目の接種から半年程度で感染予防効果がほぼ半減するとの海外研究は政府内で共有されている。
このため、自治体からは高齢者の前倒し接種を求める声が寄せられたが、ワクチン確保や自治体の負担を踏まえた期間として
「原則8カ月」を動かさずにきたのが実情のようだ。

 3回目のワクチン追加接種は、昨年7月にイスラエルで開始されるなど各国で進みつつある。
だが、12月にスタートした日本の3回目接種完了者は1%に満たない。松野博一官房長官は
「総量として必要なワクチンは確保できる見込みだ」と繰り返すが、菅政権時代の首相官邸スタッフの1人は岸田政権の舞台裏をこう推察する。

「本当はワクチンが不足しているから一斉の追加接種ができないんだと思います。
でも、それが発覚すれば岸田首相が責められてしまうから、政府としては絶対に認めない。
菅前首相や河野太郎前ワクチン担当相は批判もされましたが、
強いリーダーシップでワクチンを確保し、接種を加速させた。有事は決断とタイミングが大切なんだと思います」

 水際対策のグダグダが失望を招く中、菅前首相のコロナ対応を批判して
宰相に上り詰めた岸田首相は今、何を思うのだろうか。
https://diamond.jp/articles/-/293159?page=2