<社説>21回顧・基地 自由使用に歯止めかけよ

日を追うごとに「戦争」の色が濃くなっている。

米軍機の低空飛行につり下げ訓練、外来機の騒音増、航空機の不時着や部品落下、PFAS汚染水の公共下水道放出、那覇軍港でのMV22オスプレイ発着など、あらゆる事態が起きた1年だった。
そして年末になり、自衛隊と米軍が、台湾有事を想定して南西諸島に米軍の軍事拠点を設ける日米の新たな共同作戦計画の原案を策定していたことが明らかになった。
頻発する一連の基地絡みの問題は、中国をにらんだ訓練・演習の激化で在沖米軍基地や訓練空水域の使用頻度が高まり、住民生活の侵害や安全を脅かす範囲が広がっていることを示している。
50年前に米国は沖縄の施政権を日本に返還したが、沖縄の基地の自由使用権を日本政府と合意の上で手放さなかった。台湾有事前夜とも言うべき緊張が高まる中で、今も沖縄を「占領地」扱いする実態があらわになっている。

このままでは、県民の生命に関わる重大事故がいつ起きてもおかしくない。それだけではない。台湾有事の最前線として再び戦場と化してしまう。沖縄の自由使用に歯止めをかけなければならない。
<中略>
南西シフトを進める自衛隊は11月、宮古島市の保良訓練場に地対艦、地対空ミサイルなどの弾薬を搬入した。22年度中には石垣島の駐屯地が開設し、南西地域への部隊配備がおおむね完了する。
配備は戦闘に巻き込まれる住民の視点を欠いている。米軍、自衛隊の基地や装備の存在は、住民の安全どころか敵の攻撃対象となって島々を標的にするものだ。
南西諸島の軍事要塞(ようさい)化を押し返す動きを講じなければならない。

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