北朝鮮による拉致被害者家族会の代表で、田口八重子さん=拉致当時(22)=の兄、飯塚繁雄さん(83)が11日、健康上の理由で代表を退任した。同日開かれた家族会の臨時総会で承認され、後任は横田めぐみさん=同(13)=の弟で同会事務局長の拓也さん(53)に決まった。
事務局長は田口さんの長男、飯塚耕一郎さん(44)が引き継ぐ。耕一郎さんによると、飯塚さんは11月中旬に体調を崩し緊急入院。現在も入院生活が続いており、代表を続けることは体力的に難しいとして、退任の意向を示したという。
拓也さんは11日午後、東京都内で開かれたシンポジウムで「代表の顔が変わっても、私たちの求めることは変わらない。拉致問題解決のために声を発し続ける」と新代表としての決意を語った。
飯塚さんは2007年11月、家族会の初代代表だっためぐみさんの父、滋さん=昨年6月に87歳で死去=の後任として代表に就任。拉致被害者全員の早期救出を求め、全国で署名や講演活動に尽力してきた。
前任の滋さんも同様に体調不良で退任しており、家族会代表が2代続けて健康上の理由から交代したことは、解決の糸口がつかめないまま家族の高齢化が進む拉致問題の現状を象徴する出来事と言える。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021121100331