腸の運動性を直接測定するには大規模な研究には適さない臨床手順が必要になります。しかし、排便の頻度は腸の運動性と相関することが 過去の研究により示されています。そのため、ダマト氏とボンフィリオ氏は過去の研究データを分析し、16万7875人分の排便頻度と数百万人分のDNAマーカーを分析することで、排便頻度と遺伝情報の関係を解き明かしました。
分析の結果、他と比べて排便頻度が高いあるいは低いと報告している人は、ヒトゲノムの14の領域に特徴を持っていることが明らかになっています。これらの領域には神経伝達物質・ホルモン・受容体を含む腸と脳のコミュニケーションに関連する複数の遺伝子があるため、「理にかなった結果」と両氏は指摘。ただし、排便頻度に関連する14のヒトゲノム領域のほとんどは、具体的にどのような生物学的機能を特徴としているのかを明らかにする必要があります。
また、排便頻度とIBSの間にも同じように遺伝的関連の証拠が見つかっています。ダマト氏とボンフィリオ氏は、「これを言い換えると、排便頻度を制御するための重要な遺伝的要因は、IBSを発症するリスクに関しても重要であるように思えるということです」と語りました。
さらに、研究ではIBSの発症リスクが高い人を特定することができるかどうかを確認するために、遺伝情報を要約した数値である ポリジーンリスクスコアを計算しています。ポリジーンリスクスコアによる判定は下痢を特徴としたIBSにとってより有益だったそうで、ポリジーンスコアが高い(排便頻度が高い)人は、下痢を伴うIBSを発症する可能性が最大で5倍も高いことが明らかになっています。
https://gigazine.net/news/20211210-how-often-poo-dna/