エチオピア政府軍が同国北部アムハラ州の要衝デセとコンボルチャを反政府勢力「ティグライ人民解放戦線(TPLF)」側から奪還したと6日、首相府が発表した。首相府は周辺の複数の町を制圧したとも主張しており、11月下旬から続く政府側の攻勢がさらに強まっているとみられる。
デセ、コンボルチャは首都アディスアベバから幹線道路で北東に約400キロの距離にある交通の要衝で、10月末にTPLF側に制圧されていた。TPLF側はその後も南下を続け、首都アディスアベバが脅かされる状況になっていた。
この事態にアビー首相は11月22日、政府軍を自らが直接率いるために前線へ向かうと発表。アビー氏が前線とみられる場所で兵士らと会話をしたり地形を確認したりする姿が政府系メディアで報じられるようになった。政府は今月1日、世界遺産の岩窟教会群で知られるアムハラ州の町ラリベラを含む複数の町を奪還したと発表するなど、反転攻勢を強めていた。
一方、AFP通信によると、TPLF指導者のデブレチオン氏は5日、自らの戦略的な理由で支配地域の調整を行っていると説明。政府軍側の勝利を否定していたという。
国連世界食糧計画(WFP)は11月26日、エチオピア北部で戦闘が激化している影響で食料支援を必要とする人々が増加し、推計940万人に上ると発表した。栄養不良に陥っている子どもの割合は16〜28%に上り、ティグライ州とアムハラ州では妊婦や乳飲み子を持つ母親の半数が栄養不足に苦しんでいると訴えている。(ヨハネスブルク=遠藤雄司)
https://www.asahi.com/articles/ASPD72SDGPD7UHBI004.html