ディズニーランドより平和学習が人気? コロナ下で修学旅行の行き先に「異変」が起きている。日本修学旅行協会のアンケートで、
中学・高校の昨年度の旅行先は、東京や大阪、千葉が順位を下げる一方、被爆地の長崎と広島が高校のトップ3に入った。
「下克上」の背景にあるものとは――。

 アンケートによると、昨年度に修学旅行をした高校の訪問先は、1位が長崎(2019年度8位)、2位が沖縄(同1位)、3位が広島(同11位)で、
平和学習が盛んな3県がトップ3を独占した。

 長崎県は昨年度、コロナ下で修学旅行先を県内に変えた場合、旅行会社に最大50万円を補助する支援策を設けた。
大都市圏や海外を予定していた学校が、感染リスクがより低い地方に行き先を変え、平和学習や国際交流の場が豊富な長崎に目をつけたと分析する。
修学旅行生のほとんどが訪れるという長崎原爆資料館(長崎市)の担当者は「この秋はさらに多くの児童生徒が戻ってきた。
原爆の惨状を知らない多くの子どもに足を運んでもらいたい」と話す。

 広島県では、30年前に年間約120万人いた修学旅行生が近年は半分の60万人台に減った。少子化も一因だが、東京ディズニーランド(TDL)などの
テーマパークがある首都圏、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)がある大阪や沖縄などに生徒が流れていたと県観光連盟の担当者は説明する。

 昨年はコロナ下で修学旅行生は約20万人に落ち込んだが、広島平和記念資料館などでの平和学習とともに、カキの水揚げなどの職場体験学習を
組み合わせたプログラムが人気で、順位が上がったとみる。「3位に入ったのは棚ぼただが、都市部の密を避けて地方を選ぶ学校が今後も増えるはず。
本来の『学び』を重視した修学旅行に変わってくれたら」と期待する。

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