全員65歳以上のeスポーツチーム「マタギスナイパーズ」。秋田県内でプロを目指し活動中だ。プロを目指す全員65歳以上のeスポーツチームは、全国的にも珍しいという。企画した秋田市内のIT関連会社「エスツー」によると、全国初。ゲーム初心者ながら、これからプロを目指すというシニアに、思いを聞いた。(取材、構成=高橋 宏磁)



 65歳以上の秋田在住の高齢者でプロを目指すeスポーツチーム「マタギスナイパーズ」の練習場は秋田市内にある。9月の発足後、正規メンバー12人と65歳未満のジュニア枠2人の計14人がチーム分けされ定期的に練習。練習時間は基本的には週3日で、午後1時〜午後4時頃までパソコンの前に座り、それぞれがコンピューターゲームと格闘。居残って練習する選手が多いという。

 取材当日に練習していたシニアは3人。マウスとキーボードを動かし、人気ゲーム「フォートナイト」をプレーしていた。「フォートナイト」は私の小学生の息子もハマっている“サバイバルゲーム”だ。その中の「バトルロイヤル」は、100人のプレーヤーが一つの島に降り立って、武器やアイテムなどをゲットしながら、生き残りを目指す。私も何度かプレーした経験があるが、処理すべき情報量があまりにも多く…。“瞬殺”された苦い記憶がある。

 100人でスタートし、最後の1人まで生き残れば勝利となる。すると約20分後、1人が最後まで生き残っていた。ゲームのアカウント名は「馬場目の岩魚(いわな)」さん。年齢を聞くと、なんと73歳。チーム最高齢だった。趣味は釣りで、ゲームは初心者だったという。

 「馬場目の岩魚」さん、実はゲームには苦い思い出があった。「息子と娘が小さい頃に一緒にファミコンやったら、全然勝てなくて。とんでもなく難しくてなあ。『オヤジ、だめだなあ』と言われで。一緒にやったらばかにされるので、やめました(笑い)」。

 約30年以上も封印していたゲームを“解禁”したのは、孫の影響だという。「小学校5年と2年の孫が2人います。今はコロナ禍で会えないけどね。会った時に『じーじも一緒に(ゲームを)やる』って言えたらいいなあと思ってね」。愛する孫と楽しく遊ぶため、コンピューターゲームに挑戦。最初はマウスとキーボードを同時に操作することさえ苦労したが、今やサバイバルゲームで生き残れるほどに上達した。

 だが、73歳での挑戦は簡単ではない。チームの目標の一つが「プロになって収入を得ること」だからだ。eスポーツの「プロ」の概念は様々で「ゲームをプレーし、結果として収入を得られたらプロ」という考え方もあるという。肝心の収入を得る手段は様々。大会に参加して高成績を残す、動画を配信する、などだ。チーム最高齢は「プロらしくなりたい。小遣いでいいので、稼ぐところまで行きたい」と意気込む。



スウェーデンには「Silver Snipers」(シルバー スナイパーズ)という平均年齢65歳以上のプロのeスポーツチームがあり、大会出場などを含めて世界的に活躍中だ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a5f0ab3c2c85c708a33c8e48083b4452e9acfb9d
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