新型コロナの重症化を89%防いだ ファイザーの新型コロナ飲み薬 パクスロビドはどんな薬?

新規抗ウイルス薬と既存の抗HIV薬を組み合わせた薬剤
このパクスロビドは新しい抗ウイルス薬(PF-07321332)と、既存の抗HIV薬であるリトナビルとを組み合わせた合剤です。

「なんでHIVの薬が・・・コロナと関係ないやろ・・・」と思われるかもしれませんが、感染症医的には「リトナビルブースト、キターーーー!萌えーーーーー!!」という感じです。

このリトナビルは、プロテアーゼ阻害薬という種類の抗ウイルス薬と併用することで、プロテアーゼ阻害薬の血中濃度を高く維持する効果があり、やや厨二心をくすぐる「リトナビルブースト」という名称がついています。

感染症医にとっての「リトナビルブースト」は、世間一般の「界王拳10倍」に相当するとお考えいただいて問題ありません。

抗HIV効果そのものよりも、このブースト効果を期待して使用されることが多く、このリトナビルとロピナビルという抗HIV薬との合剤である「カレトラ」は一時期HIVの治療の中心を担っていました。

そして、カレトラは新型コロナにも有効性があるのではないかと一時期新型コロナにも使用されていたことがあります(現在は有効性は否定されています)。

このパクスロビドでも、リトナビルはPF-07321332の血中濃度を高く維持するために用いられています。

一方、PF-07321332という抗ウイルス薬は、コロナウイルスの複製に必要な酵素である3CLプロテアーゼの活性を阻害することでウイルスの増殖を抑えます。

新型コロナウイルスは、ヒトの細胞の中に侵入して自分を複製します。

この過程で、複数のタンパク質が一度に繋がって作られますが、これを切り分けて別々のタンパク質にしているのが3CLプロテアーゼです。

3CLプロテアーゼを阻害することで、繋がっているタンパク質が切り分けられず、ウイルスの複製がストップします。

中国の武漢市から広がったオリジナルの新型コロナウイルスだけでなく、様々な変異株にも抗ウイルス効果を有するとのことです。

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https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20211106-00266803