中国EV業界に押し寄せる「電池値上げ」の衝撃波 リチウムなどの原料高騰、コスト吸収は限界に
2021/11/10 16:00 東洋経済新報社

中国の電気自動車(EV)業界に、車載電池の値上げの波が押し寄せ始めた。
EV大手で車載電池の製造・外販も手がける比亜迪(BYD)は10月25日、原材料価格の高騰や電力不足に伴う
生産調整などで電池の生産コストが大幅に上昇したとして、顧客に対して価格の引き上げを通知した。
具体的な値上げ幅は、それまでの納入価格をベースに最低でも20%。この新価格を11月1日以降のすべての
注文に適用する。今回の通知に関するメディアの照会に対して、BYDは「コメントしない」としている。

中堅クラスの車載電池メーカーのなかには、大手に先立って値上げに動いたケースが複数ある。
理由はいずれも原材料の高騰および供給不足だ。

ここに来て電池メーカーが続々と値上げに踏み切り始めた背景には、車載電池業界のサプライチェーンの特殊性がある。
電池の正極材の主原料であるリチウム、ニッケルなどの金属や、電解液の原料の化学製品などの価格は、
実は2021年に入ってからずっと右肩上がりだった。にもかかわらず、その分のコストアップは電池の価格になかなか転嫁されなかった。

電池メーカーのなかには、最大手の寧コ時代新能源科技(CATL)のように、まだ値上げを表明していない企業もある。
とはいえ、今やほとんどの電池メーカーにとって、原材料コストの上昇圧力は正極材メーカーに押しつけたり、自社で吸収したりできるレベルを超えてしまった。

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