【独自】過労自殺、半数が「直前にうつ」…6割超が医療機関受診せず
10/25(月) 5:00配信
読売新聞オンライン
厚生労働省

 2012〜17年度に労災認定された過労自殺者497人のうち半数が、自殺の原因となるうつ病などの精神疾患発症から6日以内に死亡していたことが、厚生労働省の調査でわかった。精神科などの受診歴がない人も目立ち、長時間労働などの負荷を受け突発的に亡くなるケースが多いとみられる。専門家は「会社や周囲は異変を早期に把握し、本人のストレスを軽減することが重要」と指摘する。

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 調査結果は、近く閣議決定される見通しの「過労死等防止対策白書」(2021年版)に盛り込まれる。

 過労自殺の労災認定にあたっては、関係者の聴取や記録資料などで事実関係を確認した上で、精神科医らが協議し、いつ、どのような原因で発症したかなどを検討している。

 今回の白書では、12年度からの6年間に、うつ病などの精神疾患で労災認定された自殺者497人(男性479人、女性18人)を分析。発症から死亡までの日数は「6日以下」が235人(47%)で最も多く、「7〜29日」が93人(19%)、「30〜89日」が75人(15%)だった。

 自殺前に「仕事内容、仕事量の大きな変化」があったケースが177件、次いで「2週間以上の連続勤務」が109件、「上司とのトラブル」が92件、「いじめ、暴行」が60件。労働時間についてみると、「恒常的な長時間労働」が201件で、1か月間の残業が160時間以上の「極度の長時間労働」が88件に上った。

 発症時の年齢は、40歳代が最多の163人、30歳代が129人で、働き盛りの世代が半数超を占めた。全体の6割超にあたる318人が精神科など疾患に関する医療機関を受診しておらず、特に「極度の長時間労働」だった自殺者88人は、4分の3にあたる67人が受診していなかった。

 過労死弁護団全国連絡会議幹事長の玉木一成弁護士は「会話や笑顔が減り、睡眠障害や食欲不振などの症状がある時は要注意で、上司や同僚、家族らは変化を見逃さないようにしたい。経営者や管理職が労働時間を適切に管理し、過重な労働を防がなければならない」と話している。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9ae08400b351de78c54df74c5ae2668f121e2847