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中国、固定資産税を一部都市で導入 不動産格差是正促す

【北京=川手伊織】中国政府は、固定資産税にあたる不動産税を一部都市で導
入する。国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が23日、政府による試験導
入を認めた。土地も含めた課税で高騰する不動産をめぐる格差是正を促す。

中国には土地も対象に含めた固定資産税がなかった。2011年に上海と重慶が導
入したのは建物のみの所有税だった。価格高騰が続いたマンションのバブル崩
壊を懸念する声があったほか、大都市に多くの物件を持つ共産党高官やその親
族らの反発も根強かったためとされる。

国務院(政府)が今後、具体的な実施都市を決める。試験期間は5年。課税対
象は住宅とオフィスビルなど非居住用不動産で、農村の宅地は含まない。中国
の土地は国有のため、土地使用権と建物が課税対象になる。

習近平(シー・ジンピン)国家主席は、21年8月の共産党会議で「不動産税の
立法や改革を積極的かつ着実に進めなければならない。試験的な事業をしっか
りと遂行する」と指摘した。共同富裕(共に豊かになる)の実現に、格差是正
の機能がある新税が欠かせないからだ。

税率など詳細も今後決める。党関係者は「当面は1〜2都市のみだ」と語る。中
国の空き家率は2割を超すとの試算もある。所有コストが上がればマンションの
売却が広がり、価格が暴落するリスクをはらむ。

共産党政権は試験導入の状況を見極め条件がそろった段階で、不動産税に関する
法律を制定する方針だ。不動産市場への影響や「持てる者」の反発など全国展
開に向けた課題も多い。
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM233QN0T21C21A0000000/