農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市)は、収穫直後から甘みがあるサツマイモの新品種「あまはづき」を開発した。
熟成のための貯蔵が不要で、「新芋」を使った甘い焼き芋が、8月ごろから食卓に届けられるようになる。
従来品種より収量が多く、病害虫にも強いという。
来春から茨城県を中心に、種苗会社を通じて苗を供給する予定。

茨城県はサツマイモの産出額が全国1位で、新品種は産地の魅力を増すための「有望株」となりそうだ。

農研機構によると、あまはづきは、収穫直後から糖度が高く、ねっとりとした滑らかな歯触りになるのが特徴。低い温度でも甘くなる性質のでんぷんを含み、焼き芋など加熱調理後の糖度が従来品種よりも高くなる。
4月下旬から植え付けを開始し、8月上旬から9月上旬にかけて収穫する「早掘り栽培」に向き、収穫直後から出荷が可能だ。これまでの出荷時期は早くても9月下旬ごろだった。

成長が早く収量が多い「からゆたか」と、早掘り栽培でも多収の「谷05100-172」を交配した。2011年から約10年越しで開発に至った。

県内の栽培で1位の品種「べにはるか」と比較すると、収量は1割高まる。早掘り栽培で8月下旬に収穫した蒸し芋の糖度を比較すると、あまはづきは25.8%で、べにはるかの21.9%を4ポイント近く上回った。

焼き芋や干し芋の原料として人気のべにはるかも、農研機構の開発品種。収穫直後は糖度が低く、粉っぽい食感になることから、産地では収穫後1カ月以上貯蔵し、甘みを増す「糖化」を促すなどして対応している。
このため、収穫直後から甘い新品種の育成が課題となっていた。

あまはづきは8月(葉月)に収穫できることと、甘くておいしいことを理由に命名した。農研機構の田口和憲上級研究員は「収穫してすぐでもおいしい。産地直送や芋掘り体験、家庭菜園などに活用してもらえたら」と期待している。

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