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2. 送金規制の影響も1945年3月まではほとんど無い

送金規制の影響も、送金規制の開始時期に注意して議論する必要がある。慰安所は1930年代から1945年の終戦まで存在したのだが、本格的な送金規制は1945年4月からなので、1945年春までに年季明けをした慰安婦には大きくは影響していない。

堀氏も参照している『占領地通貨金融政策の展開』の対日送金抑制策(pp.462–466)の所に送金規制の展開が説明されているのを参照しよう。1945年1月10日からは20万円未満の場合、送金額の4分の3を半年間、外貨表示内地特別預金として保持となったが、3月23日には「現地応召者家族の生計費確保のため,1万円以下の送金を認め,外貨建預金とし払出しを要許可とした」と緩和されている。

実際、2012年に発見された慰安所管理人の日記には1943年〜1944年に頻繁に送金をした記載がある一方、堀氏が強調するような封鎖預金という規制については記載が無い。野戦郵便局での送金には兵站司令部、銀行での送金には軍政監部の許可がいることは記してあるので、規制はあったが記さなかったと言うわけではないようだ。1945年までは封鎖預金は無かったと解釈すべきであろう*3。