診断名が新しいことは、眞子さまを診断したNTT東日本関東病院の秋山剛医師が、1日の宮内庁の会見に同席し、
公表した文書の中でも触れている。それによると、「『複雑性PTSD』は、言葉の暴力、
例えば、ネット上の攻撃、いじめ、ハラスメントなどでも起こります」と見解を示している。

■ 体のいい言論封殺ではないのか

 私が宮内庁の発表、とりわけこの診断評価に強烈な違和感を覚えるのは、ここから先だ。文書ではこう続く。
「こういったトラウマを体験すると、どなたでも『複雑性PTSD』になる可能性があります」
「ネット上の攻撃、いじめ、ハラスメントなどのために、尊い生命が失われていることは、みなさまよくご存じの通りです」
それではまるで、このままだと眞子さまのお命に危険が及ぶと言わんばかりだ。その上で、こう断じている。

「眞子内親王殿下は、ご結婚に関する、ご自身とご家族及びお相手とお相手のご家族に対する、
誹謗中傷と感じられるできごとが、長期的に反復され、逃れることができないという体験をされました。

 このため2018〜19年頃から、誹謗中傷をただすことが難しい、状況を変えることが困難であるという
無力感を感じる状態で、ご自分達の人間としての尊厳が踏みにじられていると感じ、
また、結婚後、平穏で幸福な生活を送りたいという願いが、不可能となってしまう恐怖を感じるようになられたと伺っています」

 ここで判然としないのは、「誹謗中傷と感じられるできごと」がなにを指すのか、
あるいはどの範疇を指すのか、わからないことにある。「感じられる」というのであるから、
たとえばそれが「諫言」の類であるとしても「誹謗中傷」と感じれば、心の病の原因となっていることになる。
これではまるで、眞子さまのご結婚や婚約者の小室さんに対する自由闊達な意見は、
本人のお心持ち次第ですべてが「誹謗中傷」とされてもおかしくはない。

 その上で、改善策についてこう言及する。

 「結婚されることで、眞子内親王殿下のご結婚に関する、ご自身とご家族及びお相手とお相手のご家族に対する
誹謗中傷と感じられるできごとがなくなれば、『複雑性PTSD』の改善が進むと考えられます。
 ご結婚について、周囲の方々からの温かい見守りがあれば、ご健康の回復がさらに速やかに進むものと考えられます」
 これでは、すべての言及を止めろと表明しているのに等しい。すべてが止めば「感じられるできごと」もなくなるからだ。
もっと言えば、批判を許さぬ、体のいい言論封殺だ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/64a1c7b014387bf4a528305f570df7bb7a1a6ec9?page=2