ワクチンデマ、信じるのはどのような人たちか データで見るその心理
(略)
次に、どのような人たちがデマを信じる傾向にあるのかを調べた。分析において、用いたのは、以下の3種類の変数である。
1 人口学的変数 ー 性別、年齢、教育程度、年収
2 コロナに関する変数 ー コロナに対する不安、政府への信頼感、コロナに関する情報源(新聞、テレビニュース、SNS、YouTube)
3 心理的変数 ー 一般的不安、反科学的態度、疑似科学信奉度
これらを、重回帰分析という方法で分析し、「デマ」信奉度に対するその影響の大きさを調べた。
その結果、性別、教育程度、年収には、有意な関連はなかった。
最も関連が大きかった「ビッグ3」は、「コロナに対する不安」(β=-.074, p=0.00)・「政府への信頼感」(β=-0.32, p=0.00)「YouTube」(β=0.61, p=0.00)であった。
これを誤解のないように説明しておくと、最初の2つはマイナスの関連であって、「コロナに対する不安」が小さく、「政府への信頼感」が低い人ほど、「デマ」を信じる傾向にあるということである。
そして、コロナに関する情報源としてYouTubeを用いる頻度が高いこともわかった。
これらに次いで関連の大きかったのは、反科学的態度、疑似科学信奉度、一般的不安、年齢であった。反科学的態度というのは、文字通り科学への反感が強い態度である。
疑似科学信奉度とは、UFOや超能力など疑似科学やオカルト的なものを信じる態度である。一般的不安というのは、日常的にどの程度不安傾向が高いかを示している。
これらの傾向が高いほど、「デマ」を信じる傾向が強かった。年齢については、若年であるほどデマを信じる傾向が強かった。
ここで興味深いのは、不安に関してである。「デマ」を信じる傾向が強い人は、日常的な不安傾向は高いが、コロナに対しては不安を感じていない傾向があったという点である。
これは、常日頃から不安の強い人が、コロナに関しては「デマ」を信じることで、「コロナ不安」を和らげようとしていると解することができるだろう。
(略)
https://news.yahoo.co.jp/byline/haradatakayuki/20210924-00259741