リアルライブやフェス開催への激しい議論が巻き起こる中、一部ユーザーからは「ライブは配信で十分だ」という声も聞こえてくる。

たしかにデジタルに親和性のあるアーティストはサービスへの巧みな誘導や投げ銭などの仕組みを活用し、ファンと絶妙な関係性を築きながらコロナ禍で活動の幅を広げられたようだ。とは言え「配信だけでは収益が成り立たない」というアーティストが多いのも事実。配信ならではのメリット…etc

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■コロナ禍のフェス開催に“正解はない” 「置かれた状況で最善の策を」

開催する・しないにかかわらず、決断に苦しんだフェス関係者は多かったはずだ。一部の音楽フェスからクラスターが発生してしまったこともあって、リアル音楽フェスへの当たりはいっそう厳しくなっていると言える。

 一方で、コロナ禍を機に一気に普及したのが配信ライブである。コロナ発生前の2019年より、音楽ライブに特化した配信プラットフォーム『MUSER』を運営するBEAMINGの代表を務める次呂久博幸さんは、昨今のリアルライブへの印象について語る。

「フェス開催を選択せざるを得ないときに、オンライン開催という選択肢があれば、創造の幅は広がるでしょう。リアルライブはダメ、配信ライブが正義、というふうに対立軸で捉えたくはありません。むしろ平常に戻ったときに、リアルライブと配信ライブがきちんと共存できるカルチャーを作っていきたいんです」

■配信ライブ=儲からない? 「寄付ではあるけど“見返り”もある」
「CDが売れなくなった一方でストリーミングが徐々に拡大し、国内音源市場も海外市場と同様に回復の兆しを見せつつ…etc

「投げ銭という応援カルチャーは以前よりネットにありましたが、コロナ禍の初期にはライブができずに苦境に立たされたアーティストを支えようとかなり盛り上がりました。ところが“コロナ慣れ”とともに、投げ銭の総額はどんどん減少傾向にあります」

■「投げ銭」収益は“今後のライブ主催者”に還元、フェス開催の意義

 なお『MUSERフェス』の投げ銭については個々のアーティストに還元されるのではなく、フェス全体の収益も含めて、ライブ主催者を支援するための『#Music Lives Matter 基金』の設立に活用される。今後のライブ(配信/リアル)の制作費として、申請は音楽ライブの主催者であれば個人・法人問わず誰でも可能だ。

 アメリカに拠点を置く配信プラットフォーム『LiveFrom』と連携し、アメリカ、イギリス、ドイツなど世界7ヵ国にリアルタイム配信されるのもLIVE AIDのスタイルに近い。とは言え、「当初思い描いていた形が完全に実現したわけではない」と次呂久さんは語る。

「もともとは『LIVE AID』と同じような、リアルライブと配信ライブのハイブリッドを構想していたんです。各国の会場では現地のアーティストがリアルライブを行い…etc

 今は「配信ライブはリアルライブの代替え品」と捉えている人が多いかもしれない。しかし配信ライブのシステムはこ…etc

厳しさ増す音楽フェスの開催、「配信ライブとの共存」における課題は“見返り”をいかに可視化する?
https://www.chunichi.co.jp/article/328156
2021年9月11日 08時40分 (9月11日 15時06分更新)