世界遺産の登録をめざす「彦根城」について、滋賀県と彦根市は、海外の専門家から意見を聴く国際会議をオンラインで開いた。
国内の専門家と協議してまとめた彦根城の「世界遺産としての価値」について、海外からも「方向性は良い」と評価を得たという。

 オンライン会議システムを使って、8月18、19日に計4時間話し合った。海外の参加者は、世界遺産の事前審査や自国の資産登録に携わったことのある
フィンランド、中国、韓国の3人の研究者。国内からは彦根城の登録推進学術会議の委員を務める7人が出席した。

 彦根城の世界遺産としての価値について、県と市は「200年以上にわたって安定した社会秩序を築いた江戸時代の政治体制を物語る傑出した証拠」としている。
「城郭建築の最高点」として先に世界遺産になった姫路城と差別化を図り、世界的に見ても独特だった江戸期の政治体制(幕藩体制)に着目し、
彦根城をそのモデルと位置づけた。

 県によると、この価値について、海外の研究者からも理解を得られたという。一方で「戦いのイメージのある『城』と平和な時代の『政治拠点』のつながりが分かりにくい」
「より深い国内外の城郭との比較研究が必要」と指摘を受けた。

 登録推進学術会議の宗田好史議長(京都府立大教授=都市計画)は「彦根城の新しい価値を発信することで、多様な文化を相互に認め合う
世界遺産条約の取り組みに貢献することを目指した。世界遺産登録の可能性に、海外の専門家と共通認識を持つことができた」とコメントした。(筒井次郎)

https://www.asahi.com/articles/ASP9B7KLBP96PTJB00B.html
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20210910002837_comm.jpg