https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA192LC0Z10C21A8000000/?unlock=1
日本は一般病床と感染症病床が計88万9000床あり、世界的にも病床が多い。
それでもコロナ禍では病床不足が常に問題になった。政府は3月、昨冬の2倍の感染者を想定した病床上積みを都道府県に求めた。
確保病床は全国で年初の約2万8000床から約3万7000床に増えた。都では4000床から1.5倍になった。
足元では、病状が悪化しても入院できない患者が相次ぐ。

厚生労働省は2020年末以降、病床を新たに確保した医療機関に1床あたり最大1950万円を支給する制度を設けた。導入時点で2万8000床が対象と説明した。病床を空けておくと1床に1日最大43万6000円を補償する事業などに20年度、1兆円以上投じた。

(中略)

厚労省は6日付の文書で、患者を受け入れない場合は補助金の対象外として返還請求する可能性も示唆した。これを受け、都が約170の重点医療機関のうち、受け入れ実績が低い施設に聞き取りしたところ、受け入れ実績が増えた。

補助金を受け取りながら消極的な病院はほかにもあるとみられる。都は19日の都議会本会議で「医療機関に個別にヒアリングを行う。早急に状況を確認する」と表明した。国も各自治体と連携し、同様の実態把握を進める。

政府には悪質な病院名を公表する案もある。改正感染症法では、厚労相や知事は病院に病床確保を勧告し、応じない病院名を公表できる。公表された病院との関係を悪化させるとの慎重論もある。