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習近平国家主席
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週のはじめに考える 「愛される中国」の正体
中国の習近平国家主席が「愛される国を目指せ」と発言し、国際社会では「強硬外交を転換させるシグナルではないか」との期待がにわかに広がりました。ただ、よく目を凝らしてみると、習氏の本音はどうもそんな甘いものではないようです。
習氏の発言は五月末、共産党最高指導部の政治局常務委員らが参加する学習会の講話で飛び出しました。習氏は謙虚であるべきことを強調したうえで「信頼され、愛され、尊敬される中国を目指せ」と指示したと伝えられます。
国際社会がざわめいたのも無理はありません。香港の民主化抑圧や少数民族に対する人権弾圧、南シナ海での実効支配の拡大など、特に、近年の中国には内政外交ともに「強権政治」のイメージが定着しているからです。
「戦狼(せんろう)外交」といわれる攻撃的な外交姿勢を隠そうともせず、欧米諸国との摩擦を高めるようなふるまいすら続けてきました。
◆最高指導部の学習会
しかし、この学習会の講師が、「中国モデルの優位性」を訴えてきた上海復旦大学中国研究院の張維為院長であったことを見逃すわけにはいきません。張氏は、共産党一党支配による統治モデルが西側の政党政治などより優れていると主張し、戦狼外交についても理論的支柱のような学者なのです。
指導部が張氏の高説を拝聴する学習会を開いたわけですから、強権主義の鎧(よろい)を脱ぎ捨て、国際社会から「愛される国」に転換するという見方は的外れでしょう。
中国政治に詳しい在米中国人社会学者は、習氏が講話で「中国共産党の宣伝能力の強化」を進め、「国際新秩序を形成すべく国際社会を導いていく」ことを強調した点に留意すべきだと言います。
実は、習氏が愛されることを望む相手は、習氏主導の経済圏構想「一帯一路」に関係する中央アジア、東南アジア諸国やアフリカ、中南米などの国々でしょう。
欧米に対抗していくうえで力になり、領土や台湾などの問題を巡る国連の舞台で中国を支持してくれる仲間を増やそうとしているとの見方に説得力があります。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/117466