取材の自由 「現場入り」は知る権利直結 職業上正当な制限破り<メディア時評>

 北海道新聞(道新)記者が旭川医科大学で取材中に、大学職員によって取り押さえられ現行犯逮捕され、捜査が続いている。
事前に報道機関に対し取材禁止を連絡した中、構内に入り、会議の様子を無断録音しており、その場で身分を明かさなかったからとされている。

 しかし、社会における「正当な取材行為」をどのように設定するかは、取材・報道の自由ひいては市民の知る権利に直結し、単なる「建造物侵入事件」では終わらない重要な課題を問いかけている。

公共性・公益性

 記者の取材は、社会の一般的な法令や慣習と時に異なることがある。それは、読者・視聴者に知らせるべきことを、事件・事故が起きている現場に直接行って、
きちんと自分の目や耳で確認することで、責任を持って「いま起きていることを、いま伝える」ことができるからだ。
その際、取材対象先に立ち入る行為の少なからずが、相手が嫌がるタイミングであったり、場所や内容であったりする。その結果、相手方に近づくこと自体を拒否されることも少なくない。

 しかしそれに従ってばかりいては、当然「本当のこと」は分からずじまいだ。その場合、どこまで「勝手に」取材をすることが許されるかであるが、
一般的には、対象相手や取材場所、報道予定の事象の公共性・公益性と比較して判断し、その理由を説明した結果、それらが社会的に了解されることが期待される。

 危険地取材のように、国が紛争地への渡航禁止を勧告あるいは推奨する場合がある、原発事故に際しては今でも立入禁止区域が設定されている。
こうしたルールは一定尊重する必要はあるにせよ、取材の必要性があると判...

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1352813.html