農政【森島賢・正義派の農政論】野党の責任

 野党の責任は、いまの政府を倒して自分たちの政府を作り、自分たちの政策を実行することにある。そうして、支持者の負託に応えることにある。
いまの野党に、そういう意気込みがあるのだろうか。

 野党が政府の不祥事を暴露し、窮地に追い込んで退陣させるのはいい。しかし、退陣させた後どうしたいのか。そこが分からない。

 世論調査をみると、野党の暴露の結果、政府の支持率は下がったが、野党の支持率は、いっこうに上がらない。
 だから野党は、国会が会期末になっても、内閣不信任案を提出することさえできなかった。不信任案が提出されて、国会が解散され、総選挙になっても、野党が勝てる自信がなかったからだろう。

 どうして、こんなことになったのか。それは、野党の目ざす政治が、国民に分からないからである。
野党自身でさえ分かっていないのではないか。いったい、与党とどこが違うのか。野党は、いったい弱者の側に立つ、力強い味方なのかどうか。そこが分からない。

桜問題は、たしかに重要である。しかし、農業者の犠牲を見過ごしていい程までに重要なのか。
いったい、桜問題は農業者などの弱者にとって、どんな問題なのか。
 野党は、不祥事を暴露することで、内閣を倒し、弱者の側に立った政府を作りたいのだろうが、そうした戦略で暴露したわけではないようだ。
つまり、桜問題と弱者との関係が分からない。そのうえ、内閣を倒しても、次の内閣に野党が代われるかどうか、も分からない。野党支持率が低迷しているからである。

野党に対する新年の期待は、マスメディアなどで、強者の考えに染められた、一部の無党派層におもねることではない。
また、合流問題で党利党略や私利私略、カネにまみれた抗争に走ることでもない。そうではなくて、弱者の側に立つ政策を深いところから練り上げることである。

 それは、大幅な賃上げと非正規労働の強力な規制が基本政策になるだろう。
そして、それを政治として実現するための政権奪取であり、そのための、新年中にも予想される総選挙での選挙協力である。

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