[東京 11日 ロイター] -
ドル/円だけを見ているとよくわからないが、主要通貨に対してドルは足元で緩やかに下落している。
かつての円は、ドル売りの受け皿となって円高になるケースが多かったが、実は円も対主要通貨では売られ、ドル/円が均衡しているのが実態だ。
では、なぜ円が売られているのか。以下に4つの主要な要因を挙げる。

 ➀ワクチン敗戦
 A資源価格上昇と富の流出
 B景気後退のサイン
 C政治の弱点

(中略)

このように見てくると、日本の政治・経済体制が持っている活力がじわじわとむしばまれ、リスクオフ時に買う「避難通貨」の地位から、すでに滑り落ちている可能性があると言わざるを得ない。
「衰退する日本」を映しているのが、足元での円安と見るべきだろう。

ただ、すぐに円が暴落することもないと指摘しておきたい。
なぜなら、2020年末の対外純資産額は356兆円と30年連続で世界一の規模を誇っているからだ。
この「アンカー」が存在している限り、投機筋の円売りによる大幅な切り下げの現実性は低いだろう。

だからと言って、ゆっくりと進む国力低下を放置していいということにはならない。
今秋とみられる衆院選で「日本経済復活への処方せん」が論争点の1つになることを望みたい。

https://jp.reuters.com/article/column-tamaki-idJPKCN2DN0BN