兵庫県丹波篠山市内の集落を訪問・撮影した部落差別動画がネット上で公開され、動画共有サイト「ニコニコ動画」を運営管理するドワンゴ社(東京)に
動画削除の仮処分命令が出された問題で、申立人となった同市が31日、市役所で会見した。酒井隆明市長や市の法務を担当する川嶋将太弁護士らが出席し、
仮処分申し立ての経緯などを説明した。

【差別動画、研究装いネット公開も】

 会見によると、ニコニコ動画以外にも、昨年9月以降、「ユーチューブ」(管理会社・グーグル合同会社)と「ライブドアブログ」(同・LINE社)に動画や記事が投稿され、
地元自治会が市へ相談。市が管理会社へ削除を要請したが、放置されたままだった。

 このため、住民のプライバシーや名誉権を侵害、差別を助長しているとして、市と地元自治会長の連名で、同10〜12月、3社を相手取り仮処分を申し立てた。
グーグル合同会社と同・LINE社は今年1月までに自主的に動画を削除。ドワンゴ社は争う姿勢を示したが、同2月に削除命令が出され、削除に応じたという。

 酒井市長は「部落差別をなくすのは市の責務で、長年取り組んできた。動画は差別を助長する内容そのもので、あまりに悪質。いまだにこんなことをする人が
いることが信じられない思いだった。表現の自由があろうと、許されるものではない」と怒りのコメント。

 差別動画を見る側にも問題はあり、市の人権担当の職員は「寝た子を起こすな論もあるが、差別の歴史などを知り、正しく理解してもらうことが必要。啓発は重要だ」と話した。

 今回は、動画の早期削除が目的で、投稿者の特定はしなかったが、川嶋弁護士は「今後、別の動画サイトへ再び投稿するなどの動きがあれば、投稿者の特定も検討する」としている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/fa8d7dccc7909699dedf7013df864667118398d9