【政治】 2021/05/27 14:06

(台北中央社)中央感染症指揮センターの陳時中(ちんじちゅう)指揮官は26日、中国側が台湾に新型コロナウイルスワクチンを寄贈する意向を示していることについて、「中国が打っているものは、われわれは怖くて使えない」と述べた。行政院(内閣)の羅秉成(らへいせい)報道官は同日、中国からワクチンを購入することには高いリスクと懸念があるとの見方を示した。

中国で対台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室の朱鳳蓮報道官は同日、上海や江蘇の民間機関が台湾にコロナワクチンを寄贈する意向を示しているとし、「人為的な政治のハードルがなければ、寄贈は問題にはならない」と早期に障害を取り除くよう台湾側に呼び掛けた。中国はこれまでに国産ワクチン4種類を承認し、接種を行っている。

陳指揮官は26日午後の記者会見で、ワクチンは命を救えるものの、ワクチン自体にリスクが存在することを忘れてはならないと言及。そのため、非常に慎重に包括的な審査を行っているとした。

ワクチンを巡っては、中部・南投県の林明溱(りんめいしん)県長が中国の上海復星医薬を通じてドイツ・ビオンテック製のワクチンを県独自で購入することを認めるよう中央政府に求めている。復星医薬は中国、香港、マカオ、台湾でコロナワクチンを独占的に販売する契約をビオンテックと締結している。台湾はビオンテックと供給契約が結べておらず、蔡英文(さいえいぶん)総統は同日、その背景に「中国の介入」があったことを明らかにした。

羅報道官は、中国からワクチンを直接購入すれば、安全性や有効性、合法性などに高いリスクと懸念が生じると指摘。ワクチンは国民の健康に関わるため、購入は必ず中央政府が統一的に執り行うと説明した。

その上で地方政府に対し、現時点では指揮センターが定める対象と順序に基づいて接種可能な人々に積極的な接種を促すべきだとし、多くの懸念がある中国産ワクチンの使用を奨励することはすべきでないと呼び掛けた。

(陳婕翎、張茗喧、江慧珺、頼于榛/編集:名切千絵)

https://mjapan.cna.com.tw/news/apol/202105270002.aspx