動画投稿サイト「ユーチューブ」を運営する米グーグルは近く、米国外に住むユーチューバーへの支払いについて、税金を天引きする源泉徴収を始める。
条約により日本居住者への影響は少ないが、インドなどユーザーの手取りが減る可能性のある国では反発も出ている。
ネットサービスの実態に合った税務処理の変更として注目される。

「米国政府が収益を吸い上げようとしている。税金はグーグルから取るべきで、私たちからではない」。
3月、インドに住むユーチューバーがネット上で怒りの声を上げた。アジアや欧州など世界各地で、同様の戸惑いが一斉に広がった。
きっかけはグーグルが世界各地のユーチューバーに送った「重要な変更」の通知だ。
ユーチューバーへの支払いについて早ければ6月から、米国での税金分を源泉徴収するとの内容だった。
税務情報の提出などの手続きを取らなければ「総収益の24%が源泉徴収されることになる」とした。

ユーチューバーは、投稿した動画についた広告の再生数などに応じグーグルからお金を受け取る。
同社は変更理由を「ユーチューブからの収益が米国税法の観点からロイヤルティーとみなされるよう利用規約が変更される」とした。
ロイヤルティーとは、著作物などに対する使用料のことだ。ユーチューバーが著作物(動画)を提供し、グーグルがその使用料を支払うという整理になるとみられる。

国際税務に詳しい木村浩之弁護士は「これまでは米グーグルからユーチューバーへの支払いは、広告料だと整理されていた可能性がある。
その場合は、米グーグルが源泉徴収を行う必要はなかった。ロイヤルティーとすれば米国の法律に基づき米グーグルには源泉徴収の義務が発生する」と解説する。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG12ANX0S1A310C2000000/
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