中国の無人探査機、火星着陸に「成功」…米国と競争激化か

 【瀋陽=川瀬大介】中国政府は15日、中国の無人火星探査機「天問1号」が火星への着陸に成功したと発表した。探査機の火星着陸は旧ソ連、米国に続いて3か国目。
探査車「祝融」が火星表面の気候や地質などの調査を行う計画で、探査に成功すれば米国に続く2か国目となる。「宇宙強国」を目指す中国が、米国の独壇場だった火星探査を本格化させることで、宇宙を巡る競争が激しくなりそうだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a298cfbdad4a74701efdfdaf8570712beba0d389


中国の火星着陸「常識外れ。たいしたもん」 驚く専門家

 火星は着陸が難しいことで知られている。これまでに旧ソ連や欧州宇宙機関なども挑んだが、ほとんどが失敗してきた。日本も、火星軌道への投入を目指した探査機「のぞみ」が失敗に終わっている。
 火星は大気があるものの、地球の1%ほどと薄いため、パラシュートだけでは十分な減速ができない。ロケット噴射を併用した複雑な減速方法をとる必要がある。重力も大きい。地球の3分の1とはいえ、月の2倍にあたり、減速に大きなエネルギーがいる。
 大気圏に突入し、パラシュートを開き、地表近くでロケット噴射をする。これらのタイミングを一つでも間違えれば探査機は地表に激突してしまう。火星は月よりはるかに遠く、通信に片道10分以上かかるため、トラブルが起きても地球からの支援は間に合わない。2月に探査機を着陸させた米航空宇宙局(NASA)ですら、大気圏突入から着陸までを「恐怖の7分間」と表現した。

 そんな火星に対し、中国は今回、火星を回る軌道に探査機を投入し、火星に着陸させ、さらに今後、探査車で地表を走らせるという三つのミッションに一気に挑んだ。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の的川泰宣名誉教授は「政府が総力をあげて取り組んだのだろう。技術は非常に高いレベルにあると言える。
先行した米国やロシアの情報を手に入れてもいるだろうが、三つのミッションを同時に行うのは従来の計画の立て方から考えると常識外れ。たいしたもんだ」と舌を巻いた。(小川詩織)

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